夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
「お忙しいところ、申し訳ありません」
にこやかな笑顔で謝られても、嘘っぽく感じるのは自分だけだろうか。
それとも年をとったってこと?
そんなことを思っていたら、返事が遅れてしまった。
「いえ。
会議室をとってあります。
行きましょう」
不審がられないよう、いそいそと歩きだしたら資料を取られた。
「持ちます」
うわっ。
不意の対応に固まった。
縁のない対応に感動してしまう。
碧はぼそりと短く礼を呟いた。
軽くなった両手が手持無沙汰すぎるのに、意味もなくボールペンとメモ帳を手に取って、先を歩き出す。