夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
「悟らないかもしれないじゃないですか」
「そんなことないよ。
この先、場数を踏むごとに、余計に明白になっていっただろうし」
「場数?」
「そうそう」
突っ込んだのに軽く流され、手を引かれて歩き出した。
「俺の相手は碧さんだってこと。
出会いも再会も、碧さんの言う、ささいなことの積み重ねで、タイミングがずれるかもしれない。
けど、いつかはこうなっているんだよ。
縁って奴。
この先がどうなるのか?
それは俺たち次第」
きっぱりとした声で宗雅は言い切った。
宗雅がそういう考えであることに、碧の胸に安心感が広がった。