夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
会議室不足のため、元倉庫を改装した部屋は、窓が無いうえに狭くて閉塞感が高い。
電気をつけて、無言のまま向かい合わせに座った。
「よろしくお願いします」
好青年の笑顔。
あまり男性への対応に慣れていない上に、部屋の圧迫感もあり、緊張気味な碧とは正反対だ。
くつろいでさえ見える。
碧は自分の緊張を気取られないように、淡々とメールの質問事項に沿って説明した。
私の方が、年上だし。
と、これって卑屈?
それとも痛いプライド?
「橘樹さん、どうかされましたか?」
視線を書面から上げると、ばっちりと目が合った。
「すいません。
意識跳びました」
ああ、恥ずかしい。
碧はあわてて書面に目を落とした。