夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
「えーと・・・」
「いや、もしかしたら一晩かも。
う~ん、たぶん」
そういって、綺麗な顔に似合わず、へらっと笑った。
えー、やっかいごとに巻き込まれるの嫌なのに。
でも結局、従ってしまった。
なんせこの寒さでイブニングドレス姿だと、凍死は時間の問題だ。
宗雅に怒られることを覚悟で、マンションに連れて戻る。
道すがら色々と聞いてみるが、彼女は笑って誤魔化すばかりだ。
どう、宗雅に説明しよう。
でもこんな美人だから、同類憐れむで、親身になるかもと希望を持ってみたり。
後から帰ってきた宗雅は、予想通り、リビングのドアノブを握りしめたまま、ソファーに座る彼女を見て固まっていた。
二人して見つめあったまま数秒が経つ。
微妙な空気の流れに碧は瞬きをした。