夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


「麗華。
 久しぶり里帰りをしてきたらいい。
 お母さんも喜ぶから」


麗華は眉をびゅっと上げた。


麗華が何かを言い返す前に、男は宗雅と碧に目線で礼を言って去って行った。


「む~か~つ~く~」


麗華は雄叫びを上げて、クッションにパンチを繰り出している。


いやいや、あの人にそう言えるあなたは立派です。


生きた心地がしませんでした。


碧は変な慰め方をしそうになった。


「あれ、死んだはずの今泉だよな」


宗雅の静かな声に麗華のパンチが止まった。


「なんかやばそうだから、言わなかったけど。
 あいつも俺が誰だか思い出してたぞ」

「思い出してたんじゃなくて、ここに来る前に調べ上げてた、の間違い」


宗雅は首の後ろをなぜる。
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