夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
急いでいるらしいのに、資料はきちっと事務室まで運んでくれた。
「またよろしくお願いします」
そして爽やかな笑顔を向けて立ち去って行った。
そそくさと帰って行った感じに、自分が悪いことをしたかと、ちょっと顧みる。
愛想がなくて淡々としていたかもしれないけど、別に失礼じゃなかったと思う。
私が無愛想でも、何とも思わないだろうし。
そう結論を出すと、すっかり止まっていた調査の仕事を再開させようとした。
同時に、またズキズキと痛みだす。
密室の緊張で、余計に痛みが増した気がする。
碧は引き出しを開けると、さっきと同じ頭痛薬を取り出した。
やっぱりイケメンは鑑賞するにつきる。
下手に関わると、疲労がたまる。
もうこれで関わらなくて済むといいなあ、碧はひっそりと願った。