夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
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夜の8時になると、学校の構内は人気がない。
教室のある古びた建物は真っ暗で静まり返り、廃墟のようだ。
研究室棟と事務室の明かりが、点在している建物の所々で灯っている。
8時の帰宅は、宗雅にとっては早い。
プロジェクトの前は、平気で午前様だった。
帰っていいの?って思うが、仕事がそこまで積み上がっていないので、帰るしかない。
他のメンバーも、プロジェクトの間だけと羽を伸ばして、夜の街へ飛び立っていった。
宗雅は自宅でやりたいことがあった。
駅に近い方の門から出ようとすると、向こうからコンビニの袋を下げた碧が歩いてくる。
色が白いからか、夜の街灯の光だけだと、ぼおっと顔が浮かび上がって見える。