夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
揃いもそろって、オーダーメイドらしきスーツに身を包み、カラーシャツを合わせ、ネクタイとのコーディネートも抜群だ。
この昭和の香り漂う事務室ではあきらかに浮いている。
「えーと、みなさんお忙しいところ、少し手を止めていただけますでしょうか」
事務局長のあいさつに、事務職員はがたがたと立ち上がった。
就職して2年目の経理課の子は、就職して3年目の庶務の子と手を取り合って、目を輝かせている。
わかるなあ。
碧は苦笑して眺めていた。
彼らの射程範囲に入る年齢であることが、うらやましい気持ちだった。
「・・・ということで、この先ヒアリング等もございますが、皆様の協力なくては、なしえません。
どうぞよろしくお願いいたします」
事務長の号令と同時に黒い集団は一礼した。