夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
「いーよ、このぐらいお安い御用。
また言って」
藤井はにっこりと笑顔で出て行った。
なんとなく読めた。
宗雅の眉間にしわが寄る。
どうせ調子のいいこと言ってやり始めたが、段々めんどくさくなって、押し付けたに違いない。
パソコンの画面のエクセル表と机上の資料を交互に見る。
こういう作業を藤井が一番嫌いなのを良く知っている。
「内藤さん」
なんだよ。
内心、むっとしながら顔を向けると、またあの眼差しにぶつかった。
「だいぶ進みましたので、大丈夫です。
ありがとうございました」
デスクから表を取り上げようとするのに、宗雅は端を掴んだ。