夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


碧の方は自分の物言いに、しまったと思ったらしく、微妙に視線が泳いでいる。

「いつも一人で残業ですか?」

「ええと、まあ、そうですね」


なんだか悪いことをしている気分になったらしく、へどもどと答える。


視線も下だ。


この人いじめるの、楽しいかも。


宗雅は笑いそうになって顔を俯かせた。


予想通り、調査の入力は少ししか進んでいなかった。


あれこれと中断させられたのだろう。


手伝わなかったら、どのぐらい残業するつもりだったんだろうか。


上司に言えばいいのに。


でも言わないで抱えそうだよなあ。


ぼんやりと思いながら入力を続けていると、その内無心になってくる。


「内藤さん」


声をかけられ、夢から醒めたように碧の顔を見つめた。
< 46 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop