夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
碧の方は自分の物言いに、しまったと思ったらしく、微妙に視線が泳いでいる。
「いつも一人で残業ですか?」
「ええと、まあ、そうですね」
なんだか悪いことをしている気分になったらしく、へどもどと答える。
視線も下だ。
この人いじめるの、楽しいかも。
宗雅は笑いそうになって顔を俯かせた。
予想通り、調査の入力は少ししか進んでいなかった。
あれこれと中断させられたのだろう。
手伝わなかったら、どのぐらい残業するつもりだったんだろうか。
上司に言えばいいのに。
でも言わないで抱えそうだよなあ。
ぼんやりと思いながら入力を続けていると、その内無心になってくる。
「内藤さん」
声をかけられ、夢から醒めたように碧の顔を見つめた。