夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


「そこまでして頂ければ、後は私だけでも今日中には終わらせられますので。
 お疲れ様でした」

「終わらせられるって・・。
今日中じゃなくて、日付が変わる頃になるんじゃないですか?
泊まるんです?」


やや皮肉っぽく返したが、皮肉は通じなったらしい。


「タクシーで帰ります」


それ、高らかに宣言することじゃないでしょ。


「ああ、そうですか」


流して、そのまま宗雅は入力に戻った。


碧が明らかに困っている空気が伝わってきた。


「幕の内、っぽいので」


宗雅は顔を上げた。


「コンビニにメシ買に行くんですよね?
 幕の内系でお願いします。
 それが入力代ってことで」


返事も待たずに、顔を画面に戻した。


「はい」


デスクから財布を取り出す音がして、小さく“行ってきます”と声がして出て行った。


なんだか年上とは思えない。
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