夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


「セキュリティーの問題で、事業団のサーバーに登録できるのが2台までなんです」

「じゃあ、時間指定して、各部署に入力をしに来てもらったらどうですか?」

「年度が切り替わって忙しい時期に、教務部にそれを依頼したら、殺されますよ」

「ふうん」


腕を組んで、しばし画面を眺めながら考え込む。


「意識改革から必要ですかね」

「どうですかね」


嫌味っぽく言ってしまったと思ったらしく、碧は慌てて言葉を足した。


「教務部しか、正確な数字を答えられないというのが問題かもしれません。
 つまり教務部で学生数を把握しているシステムをこちらでも自由に見られるとか、見て理解できるシステムにするとか。
 大学は教員と学生がメインです。
教務部には教員と学生のための仕事を専念して欲しいですから、こういう調査を依頼しない方法を模索すべきです」


自分が熱く語っているのに気付いて、“と私は思うのですが”とぶつぶつ呟き、弁当をくるんである包装紙を外している。
< 50 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop