夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
「いい考えだと思います」
宗雅が穏やかに微笑して見つめているのに、碧はちらりと上目遣いで見てから、黙々と食べている。
「色々な考えがありますから」
冷めた答えなのは、7年も勤めて色々と学んだ結果なのだろう。
「あ、やっぱり旨いな」
「よかったです」
初めて聞く明るい声に顔を上げると、にっこりと笑っていた。
整っている顔だというのもある。
それなのに、いつも仏頂面しているから、その破壊力はすごい。
宗雅は凝視に近く見つめていた。
ああ、本当だ。
落ちる時は一瞬だ。
宗雅は顔の表情を緩めた。
「うまかったんで、またおごってください」
素の微笑をし返すと、今度は碧が固まっていた。