夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
宗雅は何気なく、少しでも空間を確保してあげたいと思うが、なかなか難しい。
彼女だったら、明白にやってあげられるけれど、この立場でやると痛いしな。
ある意味、同じ方向なのは気まずい結果だろうな。
眼下の碧の頭を見下ろす。
飲み会帰りのグループが多く、車内はざわついていた。
会話を交わしても目立たないが、二人とも黙ったままだった。
今日の調査の入力の事とか、補助金の業務の事とか。
彼女の性格を考えると、気を遣ってこちらから話題を振ってあげた方がいいとは思うのだけど。
沈黙のままでいた。
また止まったターミナル駅から、更に乗り込んできた人に潰されていく。