夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)

「大丈夫？」


とっさに一言が出ると、碧は小さく返答をした。


なんだか狼狽えている。


そうだろうなあ。


職場の人と一緒に帰ったこととか、あまりなさそうだし。


不可抗力で、更にくっついているし。


気兼ねなく寄りかかっていいから、って言うわけにいかないしな。


距離を保とうと踏ん張っているのがわかって、気の毒になるが、どうしようもない。


色々と思っている内に、宗雅が降りる駅に電車が滑り込んだ。


「それじゃあ、ここなので」


碧の頭を見下ろしていうと、碧はかすかに頭を下げた。


「お疲れ様です。
　今日はありがとうございました」

「いーえ。
　お疲れ様でした」


なんとなく含みをもたせて、宗雅は電車を降りた。