夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


あの二人が並んでいる所を想像すると、似合っているんじゃなかって思う。


碧の不器用そうな性格を見抜いて、うまく転がしそう。


年上の余裕とかで。


勝手に男と縁がなさそうとか思って、あの人の無表情の裏を読める数少ない人間だと一人よがって、なんだか・・・。


むかつく。


だから数日、宗雅は碧の方角を避けた。


聞きたいことは山積みになっていくのに、私学事業団や日本学術振興会に直接問い合わせをした。


どちらも凄く怪訝な対応をされたが。


「なんだかこのごろ荒れてるね~、ソウちゃん」

「ませんよ」


返して、ビールのグラスを空けた。


帰ろうとしたら藤井に飲みに誘われ、ベルギービールの店に来ていた。


ムール貝をつまむ。


「香澄ちゃんと別れたんだって」


今日、誘われたのはそれが理由か。


「ええ、まあ」


香澄の奴、こっちが無視を決め込んでいるから、この男に電話したな。
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