夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


宗雅は三人兄弟の真ん中だった。


上の宗臣は外務省のキャリアで海外の大使館に勤務中。


下の宗忠は眼科医で、父が節税対策に購入したマンションに、“もったいないから”という理由で住んでいる。


夜ごと女をとっかえひっかえしたいため、とは兄弟しか知らないだろう。


宗雅は何かと便利だから、いまだに実家暮らしだ。


一人暮らしと知られれば、部屋に来たがるし、部屋に連れ込んだら、メンドクサイことになる。


新旧鉢合わせ、なんて状況になったら、うんざりだ。


そう宗忠に言ったら、その時はマザコンに徹するらしい。


元々、その気があるから、迫真の演技ができるのではないだろうか。


3人兄弟の真ん中だと、放っておかれたと思われがちだが、そうでもなかった。


3人の中で宗雅の顔が、母親の好みの“ド”ストライクらしい。
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