夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
父の趣味で集めた絵画や彫刻が廊下には陳列してあり、間接照明で照らされている。
自分の死後、私設美術館として家の開放を望んでいるらしい。
でもこの家も土地も母の物なのだが・・。
父に一目ぼれをして、猛アタックをし、祖父の権力を使い、強引に結婚したとか。
婿養子にならなかったのは、父のささやかな抵抗だ。
でも。
と、宗雅は思う。
ぜーってい、あの人、仕組んだ。
母をどこかで見て気に入って、策略を練ったに違いない。
さわやかに笑いながら、腹黒いことを考えるのが自分の父親だ。
まあ、二人とも幸せそうだからいいんだけど。
宗雅は自分の部屋に入ると、背広を床に脱ぎ散らかして部屋付きの浴室に入った。