夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
宗雅はそのまま庶務の事務室に入った。
「こんばんは」
いつも通り事務室の入り口で声をかけると、事務室の奥の方で、艶やかな黒髪の頭が動いた。
立ち上がって顔をのぞかせる。
「はい」
返事はいつもの平坦さではなくて、心なしか気落ちしていた。
「大丈夫ですか?」
宗雅はまっすぐと碧の元へ歩み寄って、見下ろす。
その声と態度に見られていたことを悟ったらしい。
うなずくと椅子に腰を下ろした。