夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


「だから嫌なんです」


碧は眉間にしわをよせて席を立つと、自分の席に戻ってしまった。


「すいません。
 名前じゃなくて、橘樹さんのこだわりが、意外で。
 うん、でも確かに小学生の頃って、名前って重要ですよね。
 俺たち兄弟も小学生の時はよくかわれました。
 3人とも戦国時代の武将みたいな名前なんで」


碧はちらりと横目で宗雅を見る。


「どういうのですか?」

「上から宗臣、宗雅、宗忠です。
 ちなみに父は宗重です」

「確かに強そうですね」

「武術をやったこと、ないですけどね」


宗雅は机に両肘をついて、あごを両指を組んだ上に載せた。
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