夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


離れて宗雅がまぶたを上げると、碧は目を見開いて固まっていた。


うん、まあ、そうだよね。


宗雅は姿勢を戻すと、資料に目を落とした。


「すいません。
 聞いていなかったので、もう一度説明してもらえますか?」


数秒、碧は黙ってから説明を始めた。


淡々と説明する声を聞き、爪が短く切られた指先をみつめながら、今の行動を振り返る。


ひっぱたかれなかったな。


そこまで怒らせなかったということか。


嫌ではなかった?


碧の声が止んだ。


「なるほど。
 よくわかりました。
 ありがとうございました」


宗雅は資料をまとめると立ち上がった。
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