夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


「今日はもう上がりですか?」

「いえ、まだ、もうちょっと」


顔は俯きがちだ。

警戒しているのか。


「そうですか。
 では失礼します」


宗雅はにっこり笑って庶務を出た。


自分の足音が荒いのに気付いて、歩みを緩める。


ふうっと息を吐いた。


衝動に負けたのは中学生以来だ。


眉根を寄せると、宗雅はまた荒い足音を響かせた。
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