夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
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人気のない事務室では、廊下先の階段を下りていく足音まで聞こえる。
それも聞こえなくなると、碧は脱力して椅子に座りこんだ。
今のなんだった?
片手で口元を覆う。
したよね?
妄想?
見つめているのに気付いて顔を上げたら、深みのある瞳からそらせなくなった。
そうしたら光を帯びて、色が変わって・・・。
あの時、完全に捕捉された獲物になっていた。
美しいラインのくちびるが近づいくるのに、ただ見とれていて。
滑らかな肌。
通った鼻筋。
やっぱりギリシャの彫刻のようだと心奪われていたら、やわらかく重なった。