夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
「さて、今日、上がるか。
ソウ、どう久々にメシでも」
「いいですね。
フットサルはないんですか?」
「メンバー登録しているグループが、珍しくどこもやらないんだよ」
「へえ」
「アベクロバブルで景気がよくなって、みんな忙しいんだろ」
「このバブル。
株価だけでなくて、実態を伴うんでしょうかね?」
「うちの部門によっては、円安と資源安で、のたうちまわっているけどな」
宗雅は口元を緩めて帰り支度を始めた。
パソコンのシャットダウンをクリックすると、内線が鳴る。
「水野」
後藤が端っこの席に座っている、物静かな水野に声を上げると、水野は片眉を上げてから内線をとった。