夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


物静かで端正な顔立ちの男だ。


その綺麗な顔を宗雅に向けた。


「ソウさんに、正門警備室から」


宗雅は眉を寄せた。


「はい。プロジェクト室、内藤ですが」


正門警備員によると、客が来ているという。


名前を聞いて、ぴくりとこめかみが動いた。


「すいません後藤さん。
 また、で。
 水野さん、まだいますか?
 カバン、置いて行ってもいいですか?
 すぐ戻ります」

「えー、おい。
 なら待ってるぞ」

「はい」


宗雅は早足でA棟を出て正門へ向かった。


正門にいた見慣れた人物は、宗雅の姿を見つけると、満面の笑顔で片手を上げた。
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