夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)


その途中で視界に引っかかったものに、もう一度視線を戻す。


やっぱり、お約束か。


宗雅はため息をつきかけた。


正門にはユリノキ並木が2列走っているのだが、その向こうに碧が歩いている。


ファイルを抱えているのに、打ち合わせが終わってM棟に戻る途中のようだ。


今の見られたな。


距離的に、会話は聞かれなかっただろうけど。


別に見られても困らない・・・けど。


彼女がいるってことは知っているだろうし。


その認識のままがいい。


宗雅は気づかれないように歩み寄ると、抱えていたファイルを掴んだ。


碧が驚いて顔を向ける。
< 94 / 334 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop