夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)
その途中で視界に引っかかったものに、もう一度視線を戻す。
やっぱり、お約束か。
宗雅はため息をつきかけた。
正門にはユリノキ並木が2列走っているのだが、その向こうに碧が歩いている。
ファイルを抱えているのに、打ち合わせが終わってM棟に戻る途中のようだ。
今の見られたな。
距離的に、会話は聞かれなかっただろうけど。
別に見られても困らない・・・けど。
彼女がいるってことは知っているだろうし。
その認識のままがいい。
宗雅は気づかれないように歩み寄ると、抱えていたファイルを掴んだ。
碧が驚いて顔を向ける。