白衣の王子に迫られました。



「――で、同棲中の彼はどこに?」

マンションの前でさよならするつもりだったのに、「先生の彼氏にぜひご挨拶を!」と譲らない森下君を上手くかわすことが出来ず、あれよあれよという間に玄関先まで押し入られてしまったというわけ。

「彼?……えと、外出中かな?」

「ふーん、でもさっきは部屋で待ってるって言ってませんでしたっけ?」


誰がどう見ても男と暮らしている痕跡のない、散らかり放題のワンルームマンション。

きっと森下君は気付いているはずだ。

私に同棲中の彼氏なんていないってことに。

だったら、ここで変に誤魔化すよりも、正直に打ち明けて口止めしたほうが得策ではないだろうか。

うん、多分それがベストアンサー。

「よし!」

「なにがよしなんですか?」

訝しげな顔で私の見下ろす森下君を真っ直ぐに見上げる。


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