白衣の王子に迫られました。
「いただきます」
本当に喉が渇いていたのかもしれない。
森下君は麦茶を一気に飲み干す。
ごくごくと液体を飲み干すたびに上下するとがった喉仏が男らしさを象徴している。
そこで初めて、ひとり暮らしの部屋に男性を招き入れた事実に気が付いた。
しかし相手は年下の看護師。
そして私は女子力の低い女医。
どうこうなるはずがない。
「あー、生き返った」
コトンとコップを置くと、森下君は腕で口を拭った。
「そう、ならよかった。もう一杯飲む?」
「いえ、もう結構です。さて、先生の話を聞きましょうか」
「……話。うん、そうだね」
口を開こうとすると、森下君はトントンとソファーを叩いた。