白衣の王子に迫られました。
ここへ座れということだろうか。
「なんで」
「なんでって、いいからここに座ってください」
「いいよ、ここで」
「ダメです。もそもそしゃべられると聞き取れないんですよね」
確かに私は声が小さいと言われる。
話したくないとことを話すときは特にそうかも知れない。
だからって、小さめのソファーに座ったらいやでも体が密着してしまうではないか。
「じゃあ、大きな声で話すから」
「そうゆうのいらないです」
またソファーをトントンされて、しぶしぶ森下君の隣に腰を下ろす。
案の定、私の右半身は、彼の左半身にぴったりとくっついてしまっている。
「ち、近すぎない?」
「全然」
森下君は「じゃあどうぞ」とニッコリとほほ笑む。
「うん、じゃあ話すね……」
私はゆっくりと口を開いた。