白衣の王子に迫られました。
いきなり恋人宣言


「だと思いましたよ」

 話を終えると森下君はクスリと笑って言った。

「彼氏が部屋で待ってるのに弁当ひとつだけっておかしいなって思ったし、四年も先生のこと見てたけど、男がいるようには見えませんからね」

「……そんな、酷い」

「はぁ? 酷いだなんて言われたくありませんよ。嘘つきに!」

「そ、そうだよね。ごめん。嘘はよくないって分かってるつもりだったんだけど……」

 分かっていて、つい嘘をついてしまったんだ。それを三十路の女心と片付けてしまうのは虫がよすぎるだろうか。

「暫くしたら別れたことにするから、それまではこのことを誰にも言わないでくれる?」

「いいですよ」

 サラリと許可が下りた。

私はホッとしながら森下君の顔を見上げる。

すると思いもよらない言葉が降ってきた。

< 16 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop