白衣の王子に迫られました。
「――……プハッ、ちょ、ちょっと―! 何するの⁉」
私は息継ぎをしながら森下君を睨む。
「なにって、キスですけど?」
すると森下君はしれっとした口調で答えた。
「そんなことくらいわかってるわよ!」
「じゃあ、いちいち聞かないで下さい」
「はあ? そう言う意味じゃなくて! 私のファー……」
ファーストキスだったのに!そう口走りそうになり、慌てて口を噤んだ。絶対に知られたくない。
「ファー?」
「とにかく! 軽々しくそう言うことしないでくれる。破廉恥な!」
「破廉恥? なにいってんですか。キスくらいでギャーギャー言わないでくださいよ……って、先生まさかの?」
(処女だと言いたいの? 大正解……じゃなかった)
「ブッブ―、そんなわけないじゃない!」
「ですよねー、まさかの“処女”だなんてありえませんよね。失礼しました……じゃあ、遠慮はいらないな」
森下君はおもむろに立ち上がると私の腕を掴んだ。
そのままグイッと引っ張られ、数歩先のベッドへ転がされる。
「うわっ、な……」
状況が把握できないうちに、森下君は私に馬乗りになっている。
どうにか抜け出そうとずり上がるとゴツンとベッドの天板に頭をぶつけてしまった。