白衣の王子に迫られました。
肉食系ナース
*
「一睡もできなかった」
翌朝、私は昇り始めた太陽を恨めしく思った。
新聞配達のバイクの音が、近づいてきてまた、遠ざかっていく。
あんなことがあって、爆睡できるほど図太くはなく。かといって気に病んで仕事を休むほど繊細でもなかった。
「昨日の患者さんのことも気になるし、早めに家を出るか」
ベッドから這い出して熱めのシャワーを浴びた。濡れた髪のままで放置しておいたお弁当を開ける。
「悪くなってないかな……」
医者が食中毒なんて笑えない。私は匂いを嗅いで確かめると、唐揚げをひとつ口に放り込んだ。
「うん、大丈夫」
でも、食べ始めて少しして箸を置いた。
美味しいはずの弁当が砂をかんでいるように感じる。
ごくんと飲み込むと、冷たい塊が胃の中に落ちた。
(勿体ないけど、ごちそうさま)
ていねいに手を合わせて、ふたを閉めてレジ袋に戻す。
それから髪を乾かして歯磨きをすると、病院へ向かった。
「一睡もできなかった」
翌朝、私は昇り始めた太陽を恨めしく思った。
新聞配達のバイクの音が、近づいてきてまた、遠ざかっていく。
あんなことがあって、爆睡できるほど図太くはなく。かといって気に病んで仕事を休むほど繊細でもなかった。
「昨日の患者さんのことも気になるし、早めに家を出るか」
ベッドから這い出して熱めのシャワーを浴びた。濡れた髪のままで放置しておいたお弁当を開ける。
「悪くなってないかな……」
医者が食中毒なんて笑えない。私は匂いを嗅いで確かめると、唐揚げをひとつ口に放り込んだ。
「うん、大丈夫」
でも、食べ始めて少しして箸を置いた。
美味しいはずの弁当が砂をかんでいるように感じる。
ごくんと飲み込むと、冷たい塊が胃の中に落ちた。
(勿体ないけど、ごちそうさま)
ていねいに手を合わせて、ふたを閉めてレジ袋に戻す。
それから髪を乾かして歯磨きをすると、病院へ向かった。