白衣の王子に迫られました。
「あー、さっぱりした」
髪を乾かして、バスルームから出ると、雨粒が窓を叩く音が聞こえる。
私は窓にかかるカーテンを少し開いた。
「……雨、降ってきちゃったんだ」
遠くの方ではゴロゴロと雷が鳴っている。
私はふと、森下くんのことが気になった。
まさか、さすがにもう帰っただろう。
そう思いながらも、なぜか胸騒ぎのようなモノがして、エレベーターで一階まで降りた。
エントランスを出てみると、さっきと同じ場所に森下君が膝を抱えて座っていた。
髪も服も濡れていて、微かに震えているのが分かる。
「なんでいるの!」
私の声に反応するように、森下君は顔を上げた。