白衣の王子に迫られました。


「どうぞ」

「おじゃましまーす!」

笑顔で靴を脱ぐ森下君に私は、まず最初にお風呂に入るように言った。

だって、びっしょりと濡れたままで部屋にいてほしくなかったし、冷えた体を温めた方がいいと思ったから。

それなのに、森下君と来たら意味ありげにほほ笑んで見せる。

「なに笑ってんの!」

「いえ、別に~」

「……念のため言っておくけど、君が思ってるような気持は毛頭ありません! 汚い捨て犬拾って来たら、お風呂入れてあげるでしょ?それと一緒!」
 
私が言い切ると、森下君は大げさに驚いた。

……いや、ガッカリしたと言ったほうが正しいのかも知れない。

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