白衣の王子に迫られました。

「えーー! 俺、犬ですかぁ……、しかも汚いって酷い。期待して損した」

「いいから、お風呂!」

「はーい、分かりました。ご主人様」

 森下君はわんわんと犬の鳴き声を真似をして、私についてくる。

一般的な男性がこれをしたら、首を閉めたくなるけれど、森下君だからだろうか、妙にかわいらしい。

「はいここ。服は洗濯機に入れてね、乾燥まで出来るから。その間は私のスエットの上下を貸してあげる。間違えて買った大きなサイズのがあるから」

すると森下君は「わん!」と大きく頷く。

いつまで犬でいるつもりだろう。

私には好都合なのかもしれない。

このまま忠犬でいてくれた方がいいに決まっているのだから。

「じゃあ、入ってきて」

 私は森下君がシャワーを浴び始めたタイミングでバスタオルとスエットを脱衣カゴに入れる。

そして彼がシャワーを浴び終えるのを待った。


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