白衣の王子に迫られました。
「あー、温まったら生き返りました」
「そう、ならよかった」
「はい! それとこれ、ありがとうございます」
森下君はスエットの上着をピッと引っ張った。
少し丈が短めだが、着るには問題なさそうだ。
「服が乾いたらタクシー呼んであげる。お金は後で返してくれればいいからね」
「ええ~」
「ええ~じゃない! 誰が泊めるっていった?」
森下君は、すがるような目で私を見た。
まさに捨てられた子犬のような目だ。
私はこの目に弱いのかも知れない。
あと一押しされたら負けてしまいそう。