白衣の王子に迫られました。
それから少しして出来上がったのは、たらこのパスタだった。
バターの香がとても食欲を誘い、大葉の緑が目にも鮮やかだ。
「……森下君の分は?」
思わず聞いてしまった。
「俺の分はないです。だって、それじゃあ、お詫びにならなくなるじゃないですか」
「でも、お腹すいたんじゃない? それにこんなに食べられないし、一緒に食べようよ」
本心だった。だって、今日の森下君はこの間のように襲い掛かっている雰囲気ではない。
本気でお詫びをしに来たんだってことがよくわかったから。
だから、遠慮する森下君をテーブルの前に座らせて、私は取り皿とお箸を用意した。
「じゃあ、いただきます!」
「いただきます」
二人で手を合わせて遅い夕食を食べる。
久しぶりに口にした手料理は、優しく私のお腹を満たしてくれた。