白衣の王子に迫られました。
「具合はどう?」
ベッドに寝ていた森下君に駆け寄り、そっと額に手をあてる。
「……先生、仕事は?」
うっすらと目を開けた森下君は、私の心配をする。
「うん、香月君が見ててくれるから大丈夫。でも、直ぐに戻らなくちゃ。これ、薬。それと、病院の売店で買ってきたからどうぞ」
私はベッドサイドに薬とスポーツドリンク、ヨーグルトとバナナを置いた。
「水分だけはしっかりとってね」
「はい、すみません」
「ううん、気にしないで。……それじゃ、仕事に戻るから。何かあったら電話してね」
夕方には熱が下がってくれていたらいいな。
そんなことを考えながらマンションをでると、待たせておいたタクシーに乗り込み、病院へとんぼ返りする。