白衣の王子に迫られました。
「あの~、穂高先生はどうします?」
私のところへやって来た春野さんの手には、出席者の名前がずらりと書いてある。
(あーこれ、香月君痛い出費だわ)
でもごめん、今日は木曜日。オペもなく病棟も落ち着いてるし、こんな日くらいはひとり部屋でのんびり過ごしたい。
だから、どうぞどうぞみんなで楽しんでいらっしゃいよ。と言う心境だ。
「ごめんね、春野さん。私はパスするわ。先約があるの」
なんて、ありふれた嘘をついてみる。
すると春野さんは、妙に納得した様子でこういった。
「あ、彼と約束があるんですね〜〜!」
「……あ、えと」
「なら仕方ないですね」と言う彼女に、私は思わず嘘を重ねる。