白衣の王子に迫られました。
「香月君~ありがとう!」
病棟の廊下で香月君を見付けて声を掛ける。
「お帰り! 早かったね。用事は済んだの?」
「うん。何か変わったことはなかった?」
「なにも。頼まれた仕事は全部済ませておいたよ」
「さすが香月君! 頼りになるわ。後でランチ奢るね」
今日もし時間があったら一緒に食堂へ行こうと約束をして、私はナースステーションへと入った。
今日はまだ夜勤の看護師さんも残っているようで、人口密度がすごく高い。
私は片隅で担当患者のカルテ画面を開くと目を通し始める。
そこで、明らかに記載ミスだと分かる夜帯の看護記録を見付けてしまった。
記載者は、春野さんだ。
私は彼女に声を掛けた。