白衣の王子に迫られました。
「……はあ~、そんなに嫌味だったかな、私」
春野さんの一件があって、ようやくありつけたランチも、あまりおいしく感じられない。
ずっとぐるぐると考えていたからか、ため息とともに思わず言葉が漏れてしまった。
香月君は「なにかあったの?」といいながらずずっと味噌汁を啜る。
「ううん、別に。大したことじゃないんだ」
おそらく聞いてもらったらスッキリするんだと思う。
でも、香月君に愚痴っても、なんの解決にもならないだろう。私は笑顔を作ると香月君に向けた。
「さ、あったかいうちに食べようっと」
「ムリしちゃって」
「してないって」
「そう? 悩みならいつでも聞くからね」
「ありがとう」
やっぱり、香月君は優しい。こんな同僚を持った私は幸せ者だ。沈んでいた気持ちも、徐々に浮上し始めた。
それなのに……。