白衣の王子に迫られました。

 その日の夕方、私は早めに仕事を切り上げて帰宅した。

森下君は午後にメールをくれて、だいぶ良くなったとは言ってくれたけど、やっぱり心配だったから。

部屋のドアを開けると、見違えるほどきれいになった部屋に、おいしそうな匂いが充満していた。

「お帰りなさい、先生」

エプロンを付けた森下君は、帰宅した私に駆け寄ると満面の笑みを浮かべる。

「森下君、体調は?」

「先生が処方してくれた薬が効いたんですよ、すっかりこの通り!」

ガッツポーズをする森下君は顔色もよく、確かに元気そうだ。

「いろいろご迷惑をおかけしたお詫びに夕飯作っておきましたから食べてください」

「ありがとう」

「はい。じゃあ、俺帰りますね」

シュルッとエプロンを外すと、サッと畳んでカバンに押し込んだ。

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