白衣の王子に迫られました。

 それからというもの、森下君は絶妙なタイミングで私のマンションに現れては、ベテラン家政婦も顔負けなほどに、私の身の回りのお世話をしてくれていた。

始めはものすごく抵抗があったのに、バランスのとれた美味しいご飯は仕事帰りの楽しみでもあったし、夜勤の時には美味しいお弁当の差し入れをくれたりするので、私のカップ麺の消費率は各段に下がり、それに伴って、体調もすこぶる良くなった。

部屋はいつも綺麗な状態で、疲れて帰宅した時にはとても安らげる場所になったし、本当にいいことづくめ。

そうなってくると、このおかしな現状がさほど気にならなくなってしまった。

これでいいのかと時々考えたりはするけれど、結局は仕事が忙しくて森下君に甘えたまま。

 そんなこんなでひと月が経った。

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