白衣の王子に迫られました。
春野さんは、相も変わらず私に敵意むき出しの状態で、仕事がやりずらいったらない。
今日もそう。検査が終わった患者さんのお迎えをお願いしたら、忙しいからと言って電話を切られてしまった。
たまたま ナースステーションでそのやり取りを耳にしていた森下君が来てくれて助かったけど、もういい加減にして欲しいというのが本音だ。
「春野も手いっぱいだったみたいで、すみません」
同僚として謝っているのだろうけれど、そんな必要はないのにと思ってしまう。
「……それは彼女から聞くべき言葉だよね」
「確かにそうですね。……最近のあいつ、先生にはやけに突っかかっていく気がする」
どうしてだろうと考え込む森下君に声を掛けて、検査室を出た。
話してしまえば協力してくれるかもしれない。
でも、これは彼女と私の問題で、……ああ、香月君も含まれるけど。
だから、言わないでおこうと心に決めた。