白衣の王子に迫られました。

「そ、そうそう。今日は彼とホテルのレストランでディナーの予定なの」

「わ~羨ましいです。お相手はどんな方ですか?」

「どんなって……」

「同業者ですか? それとも、どこかの社長さんとか? 答えてくださいよ、穂高先生」

 これ以上余計な詮索はしないで欲しかった。それなのに春野さんは目をキラキラさせて、私の答えを待っている。

「……社長、かな。ハハハ」

 とっさの判断で恋人の職業を社長にしてみたものの、どんな会社なのかとか、従業員は何人かとか、もうプロポーズはされたのかとか、あれこれ質問された結果。

私は、婚約者の会社社長と同棲していることになってしまった。

ビアガーデンに行きたくないばかりに、あんな嘘をつかなければ良かったと後悔してみたところで、後の祭りだ。

まあ、しかたない。どうせばれやしないだろう。

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