白衣の王子に迫られました。


「……あ、りがとう。美味しいかった」

私の言葉に森下君はほほ笑んだ。そして、一呼吸おいてから真面目な顔でこういった。

「……困ったことがあったら、何でも言ってください。俺にできることがあればします」

「森下君が?」

「好きな女のためなら、家政婦にでも、ナイトにでもなれる男ですよ、俺は」

「……ナイト? なに言ってるの、もう」

歯の浮くようなセリフに戸惑ってしまった私は照れながらはぐらかす。

でも、森下君は私をみつめながらその場に跪いた。

「だから俺のこと、ちゃんと好きになってくださいね」

そうだった。

森下君の気持ちを知りながらぜんぜん応えてあげられていなかった。

好きになれか……そりゃそうだ。

いつまでも都合のいい男でいいなんて思う人はいない。

でも、肝心の私は森下くんのことをどう思っているんだろう。

自分でもわからない。

「……そろそろ仕事に戻りましょうか」

森下君は立ち上がると、私の答えを求めるでもなく、部屋を出て行ってしまった。

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