白衣の王子に迫られました。

「……どれどれ」

香月君の指が私のお腹にじかに触れる。

「やあん、ちょっと、くすぐったい」

思わず身を捩った。

「へんな声出さないの」

「だって、香月くんがそんなとこ触るからじゃない」

「変なとこってどこだよ、ココ?」

「や、ばか。だめだって」

これは女子同士のじゃれ合い。

でも、そんなつもりでいるのは私たちだけ。

誰かに見られでもしたら、大変なことになる。

そう、とても大変なことに……。

< 63 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop