白衣の王子に迫られました。
「香月先生から聞きました。今朝のこと。でも俺、知ってたんですよね。香月先生がゲイだってこと」
「……え? じゃあどうして、器材室の前であんな態度とったの?」
思わず首を傾げた。
「あの時は、いくら香月先生が相手だってさすがにヤキモチ妬いたのと、器材室の中には春野がいたからですよ。ああするしかなかったんです」
「春野さんがいたの? 知らなかった」
あの時は必死で、そんなこと思いもしなかった。
「あと、春野は俺が先生を庇うと余計に攻撃的になるんだって気付いたんで、午前中はちょっと冷たくしちゃいました」
軽い悪戯でもしたようにぺろりと舌を出す森下君。
私はホッとしたのと、それでもやっぱりショックだったのと、いろんな感情がごちゃ混ぜになって思わず泣いてしまった。
「……もう、そうならそうと言ってよ」
「すみません」
森下君は、ペコリ、と頭を下げた。
「すごくショックだったんだからね」
「はい。ごめんなさい」
申し訳なさそうに俯く。
「……こんなに好きにさせて、責任取ってよね」
「はい、喜んで」
言いながら私の頬に流れた涙を拭うと、またそっとキスをくれた。