白衣の王子に迫られました。
私の丸まった背中を月が照らしてアスファルトに黒いシルエットを作る。
ふと、それがもうひとつあることに気付く。
付かず離れずと言った感じで、まるで追いかけっこをしているみたい。
(いつからだろう。だいぶ前?)
確かめようにも怖くて後ろは振り返れない。
(もしかして、変質者?)
大きな公園に差し掛かったところで、私は走りだす。全速力で。でも影はついてくる。
(どうしよう、怖い!)
その時だった。
大きな手に腕を掴まれて、私の体は前のめりになる。