シアワセの定義
「今日はよろしくね。」
そういって未紗の知り合いらしき男の人は笑った。なんでだろ…いつもそう。あの人の笑顔はもっとくしゃってしてて…その笑顔で、ゆーいって呼んできて…もうあまり思い出せなくなった。3年前だもんね。
「じゃぁ自己紹介しましょ!!」
未紗は誰かお目当ての男子をみつけたのかな。確かに未紗がいったとおりかっこいい部類だと言われる人たちばかり。この合コンに来た女子全員がラッキーっていう顔をしてる。私を除いて。
「じゃぁ男子から行くか。俺はさとう はやてです、20歳!はやてって呼んで~。」
はやてくん、茶髪、ちょっとチャラそう、形式的に覚えようとしてる時点で私にやる気がないのがあきらか、少しだけ苦笑いをしたくなった。
その後もどんどん名前を言われ、ぽけーっと聞いてたら、
「結衣、あの人かっこよくない?」
小声で話しかけられ、未紗の目線の先にいる男の人をみる。その人は、"結衣、好きだよ"って言ってくれたまぎれもないあの人。
なんでいるの?大学近かったの?いや、でも似てる人かもしれない。お願いだから似てる人であってほしい。
「じゃぁ次お前な。」
はやてくんが話しかけたのは、似てる人であってほしい人。
「えーっと、たかはし ゆうきです。んー適当に呼んどいてください(笑)」
ほらやっぱり違う人…ではなかった。まぎれもなくあの人だった。
その後の人の自己紹介は覚えていない。いや、聞けなかった…。
「…い。…てる?…ゆい!!!」
「え!?ん!?」
「次結衣だよ。」
「ゆいちゃんもしかして一目惚れとかしちゃった~?(笑)」
「違いますよ(笑)工藤 結衣です、結衣とか適当にお願いします。」
「え?結衣?」
久しぶりに呼ばれた、懐かしい声。
「久しぶり、裕希。」
「え?知り合いなの?」
未紗がびっくりした顔で聞く。
「うん、高校の同級生。」
昔の彼氏とは言えない、というより言っちゃダメだと思う。
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